Mar 12, 2021

毎日を再発明する「未来のカデン」とは~新しい生活様式への挑戦~─「CES 2021 Panasonic in Tokyo」オンラインセミナー登壇 ふりかえりインタビュー

Game Changer Catapult

毎日を再発明する「未来のカデン」とは~新しい生活様式への挑戦~─「CES 2021 Panasonic in Tokyo」オンラインセミナー登壇 ふりかえりインタビュー

Written by Game Changer Catapult 事務局

Withコロナの時代、生活様式はどう変わるのか、どんな「未来のカデン」が登場するのは?

2021年1月11日~14日、世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2021」が開催されました。当社は、「CES 2021 Panasonic in Tokyo」のオンラインセミナープログラムの一環として、13日に株式会社インフォバーン 代表取締役 CVO・小林弘人氏をゲストに招き、Game Changer Catapult(ゲームチェンジャー・カタパルト、以下:GCカタパルト)(※1)代表・深田昌則とのファイヤーサイドチャット形式の対談を実施しました。

2020年に入り世界規模で影響をもたらした新型コロナウイルスの影響をふまえて、カデン・社会・生活の未来に関する議論が繰り広げられたセミナーについて、深田が登壇して感じたことや語り切れなかったことをお伝えします。

我々視点の一方的な発信ではなく、常に共に考えたい。

Picture of chaptar1-image_我々視点の一方的な発信ではなく、常に共に考えたい。

オンラインセミナー当日の様子

今回の「CES 2021」は、オンライン開催となりました。毎年アメリカ・テキサス州で開催されている世界最大のテクノロジーとカルチャーの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)(※2)」への出展も急遽中止に。そんな中、我々はどう情報発信していくべきかを議論しながら、CESでも力強くメッセージ発信をして新規事業の事業化実現へつないでいこう、と取り組んできました。

例年、CESは年の初めにビジョンを発信する機会となっています。今回はオンライン開催の特性を活かして、パナソニックが今後どこへ向かうのか、こういう方向に進みたいと思っているが社会からの反応はどうか、みなさんはどう考えていますか、と投げかけて双方向の対話をしたいと考えました。

GAFAの動きや欧州の社会変化などに造詣の深いインフォバーンの小林さんをお招きしたのは、社会全体も個人の生活も大きく変わろうとしている現在、参加者のみなさんと共に考えたかったから。生活様式の大きな変化や新たな広がりを、改めて認識しました。

課題と課題はつながっていて、解決のヒントは交点に。

Picture of chaptar2-image_課題と課題はつながっていて、解決のヒントは交点に。

オンラインセミナー当日の小林氏スライド説明のワンシーン

小林さんによる社会変化のポイント、
1)New Livelihood/あたらしい生活、2)Unified Experience/統合された体験、3)Distributed Learning/分散型学習、4)Regenerative Society/再生型社会、5)The Momentum of a Transformation/変化の勢い、という5つは全部つながっています。

「New Livelihood/あたらしい生活」は、残りの4つを総合したもの。個人の好みやニーズ、人生観、地理的要件、家族構成などがさまざまに絡み合っています。統合された体験、分散型学習、再生型社会、変化の勢いという残り4つも非常に大事なポイント。課題を解決するヒントは課題と課題の交点にあり、新しい生活様式が当たり前になる時代、「未来のカデン」を考える際に重要な視点です。

世界が変わろうと、我々の目指す社会の視点は変わらない。

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Withコロナの時代、今までの当たり前が当たり前ではなくなりました。たとえば、働き方の問題。都心のオフィスへ毎朝決まった時間に出勤し、決まった時間に家へ帰るのが普通だった生活から、毎日同じ時間に通勤しなくてもできることは多くなってきました。企業はどうあるべきか、我々の働き方はどうあるべきかを考えるきっかけになりましたね。

GCカタパルトを始める時、5年後・10年後の世界はどうなるのか、我々はどんな存在であればよいかを深く議論しました。我々のような大企業も存在意義が厳しく問われ、パナソニック自身は大きく変わる必要性がある。一方で、変わらないのは、さまざまな暮らしの悩みを解決し、願いを叶えてカタチにすること、新しい生活文化を創造すること。ハードウェア、コンテンツ、サービスを含めた価値を提供していくことが「未来のカデン」だ、と考えました。

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実は、松下幸之助創業者がベンチャー企業として現在のパナソニックを創業した1918年(※4)、今と同じようなパンデミックが起こっていました。プレゼンでもお話ししたように、100年前にスペイン風邪が全世界で蔓延しました。その大きな生活変化の時代、その創業したばかりのベンチャーが取り組んだのは、生活の悩みごとや暮らしの困りごとを当時最新の技術(テック)であるエレクトロニクスで解決すること。現代なら、AIやロボティクスなどですね。GCカタパルトも、社会課題や個人の悩みをテックで解決していきたい。そう願って、徹底的にお客様に向き合って新規事業創出に取り組んできました。

1人のお困りごとは、実は数百万人が抱える課題かもしれない。

Picture of chaptar4-image_1人のお困りごとは、実は数百万人が抱える課題かもしれない。

くらしのお困りごとがあるのは昔も今も変わりませんが、従来の家電製品では解決できない、さまざまな社会の課題が噴出してきました。Withコロナの時代、それらがますます加速してきています。GCカタパルトが積極的に社外へ発信する中で分かってきたのは、それぞれ多様なお困りごとは意外と小さくなく、例えば世界中の数百万人もの人々が抱えているという事実もありました。

今までの技術によって、多くの人が抱える最大公約数的な課題の解決を目指すことが多かったのですが、多様な個々の課題は置き去りにされてきた。しかし現在はスマートフォンやAI、センサーやその他のデジタル技術などによって解決方法が増えてきました。生活様式が多様化する中、社会の課題を解決しながら社会に貢献していくパナソニックの経営基本方針に沿ってさらに活動を加速させながら、GCカタパルトは世界中の人が豊かな生活を送っていける社会を目指しています。


加速する社会の変化を示す、4つのポイント。

Picture of chaptar5_1-image_加速する社会の変化を示す、4つのポイント。

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セミナーの中で、Withコロナ時代に加速した社会変化として、1)家庭での「自助」の役割が増加、2)家庭内共存・分断の危機を乗り越えた共助、3)遠隔での共感・共有の解像度向上、4)人よりもモノ、モノよりもデータが移動、という4つのポイントを提示しました。

1つめの「家庭での「自助」の役割が増加」は、家庭内でいろいろなコトを解決する必要が出て来ているということ。お医者さん頼みにならない、家庭での健康づくりが重要視されたり、学校だけに頼れない教育の悩みなど、家庭での役割が急激に増えました。

2つめの「家庭内共存・分断の危機を乗り越えた共助」については、新しい働き方を実践する中で在宅勤務が当たり前になれば、家事や育児など、これまで家庭の中で役割が分断されていたものを、一緒に担っていくことが当たり前であり、より重要になる。とは言え、うまくいかないことも多い。ストレスも感じながらそういう課題を考え直すきっかけになったと思います。

3つめの「遠隔での共感・共有の解像度向上」については、例えばオンライン会議システムを活用した飲み会や、実家の親世代などシニアとのコミュニケーションもデジタルで行うことが徐々に増えたなど、課題解決の方法に多様性が出てきたということです。仕事のみならず、コンサートやスポーツでもオンラインで感動や情熱を伝える取り組みも増えてきた。その一方、社会を分断させるフィルターバブルのような課題も見えてきた。様々なテックを活用し課題を乗り越える共感の広がり方も今後の注目ポイントだと思います。


4つめの「人よりもモノ、モノよりもデータが移動」というのは、産業革命以降エネルギーの大量消費によって社会を前に進めてきた時代から、インターネットやスマホなどを活用して様々な価値提供が実現できるようになったということです。その中ではやはり物流の課題や個人情報の課題なども顕在化し、便利になると同時に我々の生活そのものの在り方まで、もう一度考え直す必要も出て来ました。

「再発明の種」は、すべてのシーンに存在する。

参加者の方々から頂いた質問に、いくつかお答えしたいと思います。まず、「新しい生活様式=新常態の毎日で、『再発明の種』が多いくらしのシーンはどこだとお考えですか」というご質問に対して。我々が取り組んできた5つの分野、つまり住空間・家事、育児・教育、メディア・エンターテイメント、食に関するソリューション、健康・美容ソリューションに加え、特に最近ではスポーツという生活シーンに注目しており、様々なくらしの場面で『再発明のヒント』が存在しています。

次に、「withコロナ時代、一般の人たちからのフィードバックを直接得にくく、大変だと思います。一般の人たちの声を聞く際、どんな工夫をしていますか」とのことですが...確かに大変です。どうすればいいのか、なかなか答えはありませんがリアルとオンラインのバランスが大事と思います。例えば2月に我々が出展を予定しているテック・カンファレンス「TOA World Showcase TOKYO 2021(※3)」でも、バーチャル空間でもリアルタイムで議論や意見交換が出来る取り組みを予定しています。センサーやデータ、ユビキタスな通信などが広がる今後は、リアルとオンラインの融合も一般社会でどんどん起こっていくことと考えています。

2021年は、これからを見極める年になる。

Picture of chaptar7-image_2021年は、これからを見極める年になる。

Withコロナ2年目の2021年は、新しい「New Livelihood」を位置づける年になります。さらに、パンデミックが終結した次の年はどうなるのか?たとえば、スペイン風邪の後は、政治の近代化が行われ、グローバル規模で新しい文化が一気に開花しました。1920年代、映画や音楽産業、ラジオなどのメディアが生まれ、ジャズやアールデコなど新しいトレンドも生まれました。航空機での移動も当たり前になり、世界が一気に小さくなりました。当時のキーワードは航空機、エレクトロニクス、自動車、化学、民主主義、グローバルなど。すると現在のキーワードとは・・・と考えると、これからどんな時代が待っているのかを想像出来ませんか。超高齢化、地球温暖化、政治の分断、差別や貧困、過密都市、災害対応など多様な課題がある中、2020年代に我々はどんな解決方法を選択して、社会をどう前進させていくのか、問われていると思います。


※1 Game Changer Catapultとはパナソニック株式会社 アプライアンス社の社内新規事業創出促進を目的とした専門チーム。社内アクションの促進はもちろん、社外の多種多様なプロフェッショナルの方々とのコラボレーションも目指している。

※2 SXSWとはサウス・バイ・サウスウエスト社が主催する、例年3月に開催されるアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれる多種多様な文化(音楽・映画・技術紹介など)のジャンルレスの街全体を会場とした大規模イベント。

※3 TOA World Showcase TOKYO 2021はドイツ・ベルリンで毎年開催されているテック・カンファレンスTOA(Tech Open Air)のワールドツアー版。2021年2月15日~16日に東京にて開催され、GCカタパルトも今年度の新規事業アイデアもこのイベントにて出展した。
詳細はこちら

※4 パナソニック株式会社の前身、松下電気器具製作所を松下幸之助創業者が自身も含めて3人で起業したのは1918年3月。

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