Sep 30, 2021

新規事業挑戦への意義。totteMEALが広げた新しい可能性に迫る

Game Changer Catapult

新規事業挑戦への意義。totteMEALが広げた新しい可能性に迫る

Written by totteMEAL リーダー 井上 貴之

みなさんこんにちは、パナソニック株式会社の井上です。私は2007年に知的財産部門に入社しました。そこで特許にかかわる仕事をする中で、最先端のアイデアや技術に触れ、いつしか「自分でも何か新しいものを生み出したい」と考えるようになりました。
そんな中、現在私の上司から未来の「カデン」を生み出すための新規事業創出活動Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)立ち上げの話を聞き、事務局側として参加をすることを決意。当初は兼務していましたが、GCカタパルトでの仕事に面白みを感じるようになり移籍しました。
その後、新規事業としてオフィス内で気軽にお菓子や軽食を購入できるBOX置き型販売サービス「totteMEAL(トッテミール)」を上司とともに考案。上司から事業開発リーダーの立場を受け継いでプロジェクトを進めていきます。多くの方からご好評もいただいておりましたが20215月にサービスが終了しました。

今回は、「totteMEAL」サービス終了までの経緯と、そこで学んだことをお話しします。私自身の経験を通してこれからGCカタパルトへの参加を考えている方や新規事業創出に興味がある方の参考になれば幸いです。

主ターゲット層の相違とコロナウイルスの影響。totteMEAL終了の要因は?

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オフィスビル街で働くランチ難民を救いたいという想いからスタートした「totteMEAL」はもともと、これからビジネスコンテストに参加するカタパリストのために、事務局側でも実績となる礎を築こうと始まったプロジェクトです。
従来の無人販売サービスは、配送スタッフが定期的に導入先のオフィスを訪れて、料金回収と商品補充を行いますが、これでは配送効率の良い都市部だけしか利用できません。
そこで、導入企業の従業員にサポーター役をお願いして、購入履歴から売れ筋商品を分析し、こちらでセレクトした商品を宅配便でお届けする、というシステムを構築。宅配便を受け取る環境さえあれば地方の方にも、利用できるサービスにしました。

結果、約100社の企業様に導入いただくことができました。しかし、意外なことに私たちが主なターゲットとしていた地方からのオファーが想定を下回ってしまいます。車通勤の方が多いため、自分で必要な量のお菓子などを自宅から持ってくる習慣があることが要因だと考えられました。もちろん、注文した商品が最短で翌日には届くという利便性も評価いただき、都心にある企業からのオファーは想像以上にありました。
ほどなくして、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、大手企業はテレワーク中心に。「totteMEAL」のファンの方には継続して利用もいただけていましたが、当初想定していた顧客ターゲットの設置数、そして全体の目標売上が未達成に終わってしまいます。
最初にアイデアが生まれたのが2016年、今からKPIなどを修正するにはさらに時間がかかることから収益面のことを考え、今年の5月にサービスを終了。翌6月には導入先企業へのアフターフォローも終え、今に至ります。

お客様との対峙、一次情報の収集不足。プロジェクト終了を経て思うこと

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totteMEAL」が終了した今、この一年を振り返ると改めてお客様と対峙することの重要性を痛感しています。
プロジェクトを進めていく中で、第三者から意見をもらう機会があり「誰のためにサービスをしているのか?」と聞かれたことがありました。もちろん、事前に需要があるのかを分析し、主となるターゲット層を想定していたわけですが、実際にサービスを始めてからお客様の生の声を聞いておらず、しっかりと向き合っていなかったことに気が付きました。
具体的に気付いた点を挙げると、サービス開始当初は、発送のスピードを重視して箱詰めしていました。しかし「すぐに送ればよいだろう」という点にばかり意識が向いており、一部の作業で丁寧さに欠ける部分があったのは事実です。そこで改めてお客様の立場に立って考えることで、手間と時間はかかりますが一つひとつの商品を丁寧に梱包するスタイルに変更しました。すると継続率がアップし、利用者も増えました。
このように「お客様目線に立つ」ということを意識し、積極的にこちらからコミュニケーションを図りながら「利用者の生の声」を聞くことが成果につながったのだと思います。
お客様からも貴重な意見をたくさんいただけ、プロジェクトとして大きく進化した瞬間でした。

また、サービスのUX(ユーザーエクスペリエンス)の面でも社内調整の兼ね合いがあり、改善に時間がかかってしまったという反省点もあります。
例えば支払いはクレジットを考えていましたが、社内調整に時間を要するため、まずは現金支払いを選択せざるを得ませんでした。ようやくクレジット対応できるようになったときにはQRコード決済が主流になってしまい、さらに後手を踏むことになってしまいました。その間、お客様には振り込みや現金支払いで対応いただくことになり反省しています。
大きな成果としては、今回の事例を踏まえて、社内調整がスムーズにいくような座組を作れたこと。今後の社内調整に悩むカタパリストたちにはとって道しるべとなるものを示せたのではないかと思っています。

カタパリストとは
GCカタパルト主催の社内ビジネスコンテストへの参加経験者の総称

カタパリストたちへメッセージ。新規事業創出に大切なこととは

今まで語ってきたように新規事業の実現には、数々の困難があり自分の思い通りにいかないこともたくさんあります。時間も労力もかかりますが、GCカタパルトでしかできない経験がたくさんあります。
私の場合、今までは自分の目の前の業務にばかり捉われ、お客様の声を聞く機会はありませんでしたが、「totteMEAL」を通して一次情報の大切さを知り、視野が大きく広がりました。また、社内の他部署の方ともかかわれたことも大きな魅力でした。

GCカタパルトには、今まで築いてきた新規事業創出へのノウハウがたくさんあり、私もトライアンドエラーを繰り返しながら、確かな礎を築けたのではないかと思っています。
正直今までの経験は、あまり関係ありません。大切なのは、お客様やチームメンバーを始めとした周囲の意見を素直に聞くという姿勢です。私たちも全力でサポートしますので、興味のある方、新規事業創出を通して視野を広げたいという方はぜひ挑戦してみてください。

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