Feb 18, 2019

お皿×映像の可能性とシェフの情熱

Game Changer Catapult

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お皿×映像の可能性とシェフの情熱

素敵なお料理と常にともにある「お皿」。もしこのお皿を映像で彩ることができたら、新しい価値がうまれるのではないか・・・。私たちのプロジェクトはそんな考えから始まりました。というのも、実は私は普段はカメラを作っており、もともと映像の可能性や魅力というものを強く感じていたからです。仕事ではカメラの開発に携わり、写真を撮るのが趣味なこともあり、美しい写真や映像は人々に感動を与え、よりその場の雰囲気をリアルに感じさせる力があるという実感がありました。また、普段何気なく食べている料理でもお皿が変わるだけで美味しく感じるなど、料理とお皿の関係に興味があったこともそのように考えた理由です。レストランなどで食事をする際も「どういった心境でこのお皿は選ばれているのだろう」ということに興味を持つことが日頃ありました。「映像と料理とが組み合わさったら面白いのではないか」、この気づきからDishCanvasという新規事業アイディアが生まれました。

思い付きから事業アイディアに練り上げるために、私たちが重視したのはプロの料理人の方々の生の声です。料理と映像の融合について、どんな可能性があるのか?果たして、ニーズはあるのか?そんな期待と不安を抱きつつ、シェフへのインタビューを重ねた結果わかったことをご紹介します。

進化を続けるレストラン業界

ここで、最近のレストラン業界の潮流について紹介させてください。料理の形態は年々変化を続け、ジャンルや国籍という垣根さえ超えてきています。2013年には、ミシュランのジャンルの中に、フレンチ・イタリアン・日本食などのジャンルとともに、「イノベーティブ」というジャンルができました。また、グルメクチコミサイトの食べログでも、「イノベーティブ・フュージョン」というジャンルが登場しています。この背景として、従来料理に重要だとされていた調理技術・食材・味といったことだけではなく、「料理の演出方法」や「自分のこだわり表現」によって、シェフがオリジナリティを表現しようとする時代に変わりつつあるということが言えます。料理は五感で楽しむ、と言いますが、味覚だけでなく視覚、嗅覚、聴覚、触覚すべてに語り掛ける料理は、時にアートの域に達しています。

取材で感じたシェフの想い

飲食店の課題を探すべく取材を重ねる中で、料理に対する常人とは一線を画する情熱を持った多くのシェフにお会いしました。彼らの演出方法に共通のフォーマットはありません。ただ、共通していたことは、「お客様を楽しませるためにそこまでやるのか!」という情熱とそれにかけるおしみない努力です。取材したお店では、魚が泳いでいるかのようにフライを盛り付けているシェフや、ライブ感を出すためにお客様のご自宅へ出張サービスする際にオーブングリルを持参するシェフなど、アイディアや創造力に溢れた多彩な趣向が凝らされていました。自分やチームメンバーの行った取材先でお話を聞く中で、料理の世界には、「世界で、ここでしか体験できない」という価値観が広まりつつあること、またシェフの方々の「お客様を驚かせたい、もっと楽しませたい」、「料理で自分の想いを存分に表現したい」というニーズがあることが感じられました。

一方で、料理によってオリジナリティを表現したいと思うシェフにとって、使いやすさと表現力を兼ね備えた表現手法が十分にないことが課題であることも明らかになりました。お皿や盛り付けなどは最も手軽で挑戦しやすい表現手法ですが、動きや変化をつけることができず、お客さんに伝えられる情報が限られます。また、プロジェクションマッピングやライブ調理などは臨場感や表現の豊かさが特徴ですが、一度投資すると更新が難しく、シェフの新たな挑戦へのハードルを上げてしまうという側面があります。こういったお話を聞く中で、「お皿×映像」というのはレストラン業界で誰もやっておらず、お役立ちできるのでは?と考えるようになりました。

1_チームのミーティングの様子_Team meeting.JPGチームミーティングの様子

お皿×映像の可能性

DishCanvasは、表現力を提供するハードウェアと、使いやすさを支えるプラットフォームをシェフに提供します。ハードウェアは、レストランの雰囲気を壊さない「お皿型の筐体」です。ディスプレイを備えており、映像を流します。プラットフォームは、シェフに使っていただける「専用アプリ」です。お皿に流すオリジナルの映像を、シェフの頭の中のイメージやアイディアをもとに簡単操作で作れます。作り方は非常にシンプル。スマートフォンとDishCanvasをワイヤレスで接続し、ベースとなるお皿のTexture (テクスチャ)と料理に合ったMotion(モーション)を選ぶだけです。様々な効果を詳細にカスタマイズし、独自の映像を作成することが可能です。これによって、料理に合わせた映像演出によってシェフ独自の世界観をより鮮明に伝えることができます。

2_検証中のチームの様子_Team is checking many types of prototypes.JPG検証中の様子です

サービスを考えるうえで最も困難な点は、映像コンテンツの作り方でした。最初はシェフとクリエイターをマッチングさせることも考えたのですが、シェフの世界観が非常に独特で、且つ常に多忙なため、短時間でクリエイターとすり合わせすることは難しく、映像コンテンツを毎回作るだけで疲弊してしまうことが判明。しかも、料理のメニューは常に固定というわけではなく、季節やお客さん、自身の経験などで変化し続けます。そのため、なるべく「早く」「手軽に」自分の表現を形にしたい、ということが一番のニーズだとわかったんです。それを満たすには、シェフが自分でコンテンツを作ることが必要でした。簡単に、でもオリジナリティある映像を創るための鍵が、専用アプリによるコンテンツ制作工程のシンプルさです。 操作は簡単で、DishCanvasとスマートフォンをワイヤレスで接続し、Textureでお皿の質感や柄を、Motionで動きを選択するだけ。 このアプリの操作はなるべく簡単にするために、最短で5ステップ以内にしようと考えました。 また、より詳細なカスタマイズをおこなうことも可能で、料理に最適な映像を創り上げることができます。

3_DishCanvasのプロトタイプ_Prototype of DishCanvas.JPGプロトタイプ

このサービスは、既存の常識にとらわれずオリジナリティーのある料理を提供し、お客様を驚きでもてなしたいと思っているオーナーシェフをターゲットにしています。DishCanvasによって、今までシェフの頭の中にしかなかったイメージが具現化され、表現豊かでシェフの個性あふれる料理を食することができる世界を広げていきたいと思います。

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