世界で活躍できる──その熱意に心を打たれ入社
イノベーション推進部門 ビジネスイノベーション本部 HomeX事業推進室の濱本 隆太。
2011年に、パナソニックに新卒で入社した濱本。入社後は、工場の生産設備や自動車の音響システムの営業に配属され、7年間を過ごします。当初から製品開発に携わることを描いていた中、その最初のチャンスは入社3年目に訪れました。
濱本 :「営業職ではあったのですが、生産設備の事業部にいたころに自分で起案した溶接機を商品化する経験をしました。しかも、それが結構評判が良かったんですね。消費者向けではないので多くの人の目に触れたわけではないですが、自分が考えたものが売れるのはやっぱりおもしろいなと。このときに企画側に回りたい想いがより強くなりました」
現在につながる経験を徐々に重ねる一方で、濱本は業務以外のプロジェクトにも多く関わり始めます。そのひとつが、日常の業務では出会えない社員同士が知識交換や人脈づくりをする、有志によるコミュニティ「 One Panasonic」や、そのコミュニティを日本国内の大企業にも拡張させた「 ONE JAPAN」といった組織の立ち上げへの参画です。
濱本は、こうした活動の原動力になっているのは「もともと何もないところから生み出すことが好きという性格なのかもしれないと振り返ります。
そんなバイタリティあふれる濱本がGCカタパルトに参画する最初のきっかけとなったのが、経済産業省が管轄する起業家育成プロジェクト「始動 Next Innovator」(以下、始動プロジェクト)だったのです。
学びの日々を通して高まった起業家意識。同時に葛藤が生まれる
GCカタパルトで仕事を始めた当時のメンバーと。
濱本は、入社6年目をむかえた2014年、ONE JAPANでの活動を通して始動プロジェクトを知り、参加する機会を得ました。しかし、始動プロジェクトを通じて自分の中の起業家マインドが育っていく一方で、当時のキャリアにも葛藤が現れるようにもなったのです。
濱本: 「始動プロジェクトのメンバーと過ごすうちに、商品企画というよりも事業自体の企画に興味が湧いてきたんです。事業をつくり出すことができれば、既存の事業の枠にとらわれずに、新しい価値を生みだすことができる、その可能性に心ひかれました。当時いた部署もやりがいはあったのですが、起業するかパナソニックの中で新規事業に関われる部署に異動するか、このどちらかにチャレンジしたい気持ちが強くなりました」
そうした想いを持つ中で、始動プロジェクト1期生の卒業生であり、当時GCカタパルトの立ち上げメンバーのひとりである鈴木講介と出会います。
濱本: 「鈴木といろいろな話を重ねる中で、ぜひとも GCカタパルトに参加したいという強い想いがうまれ、自ら異動の希望を出しました」
こうして2018年1月、濱本はGCカタパルトの一員として新たなチャレンジをスタートさせます。
新規事業創出のためのマインドセットをつくる
Slush Tokyo出展時、走り回る中での1コマ。
新規事業開発に取り組むうえでの醍醐味は、「新しい文化や新しい習慣をつくり、どれだけ社会に対してインパクトを与えることができるか」──。
そう考える濱本が、GCカタパルト参画後に着手したのは、「マインドセットの醸成」。隔週で約3カ月間、起業家マインドをインプットするBoot Campプログラムを設けました。
濱本: 「新規事業開発に取り組むにあたって特に大切なことがふたつあると思っています。ひとつは、いかに認知バイアスをブレイクできるか。つまり、こうあるべき、という常識や、自分にの能力の限界などの思い込みを崩していくということが大切だと考えました。もうひとつはパッション。その事業に対してどれだけ強い意志を持てるか。つまり最初のポイントとなるのは、スキルよりもまず事業をつくる人のマインドだと考えたんです。そうしたマインドをインプットする場を設けたことで、これまでは事業アイデアの発案者に対して個々に行っていたメンタリング内容の一部を、全員に対して届けることができました。新規事業開発における最低限必要な共通理解の領域を広げることに繋がり、結果的に個々のメンタリングの質も高まりましたね」
事業開発を支援する側として、プロジェクトチームの事業アイデアの精緻化に伴走することで、新規事業立ち上げの際に注視すべき点を学ぶことができたと濱本はいいます。
また、GCカタパルトが担う役割は、起業家を育成することだけにとどまりません。濱本が着目したのは、社内に眠っている、応募される"前"のアイデアや人材の発掘でした。
濱本: 「文字通り草の根活動なんですが、まだ GCカタパルトと接点がない人たちのもとに自分から出向いて、『新しいアイデアある?』とか『一緒に考えてみよう』などと、ひたすら声をかけ続けました。個人として、ある程度の人数を集めたイベント形式でおこなったり、社内でおもしろい人を数珠つなぎで紹介してもらったり、 1対 1で会いに行ったりもしました。大企業の中で新規事業に取り組む母集団を少しずつ増やすことができたんじゃないかと思います」
地道な活動は少しずつ実を結び始め、濱本がGCカタパルトに参画した翌年は、アイデア応募数が前年より大きく増加。まだ応募率が高いとはいえないものの、「入社 5年目までぐらいの熱量が高い応募者が増えた。普段からアイデアを考えているからか、レベルも上がっている」と、濱本もその手応えを感じたと言います。
世界を目指して、Unlearn & Hackを続けていく
Slush Tokyoにて。GCカタパルトでの経験を生かして、今度は自分が新しい事業の確立を目指していく。
濱本は今、パナソニックが新たに挑戦するビジネスを手掛ける部署において、GCカタパルトでの経験を生かして新しい活動を始めています。GCカタパルトを離れた今、あらためてGCカタパルトという社内インキュベーション組織が果たす役割をこう振り返ります。
濱本: 「僕がいうのもなんですが、 GCカタパルトは会社の中でも "やんちゃ "な存在だなと思います(笑)。特に、行動指針として掲げている『 Unlearn & Hack』という言葉は、大企業の中では良い違和感を醸し出しているし、異動した今でも自分の道しるべになっています。
繰り返しになりますが、新規事業には関わる人のマインドセットが重要です。今までと同じものをたくさんつくって、たくさん売ってくるのではなく、これまでの常識をあえて捨てたり( Unlearn)、今あるリソースを最大限利用したりする( Hack)、そういったことを部署内だけでなく社内全体に啓蒙していることに、GCカタパルトの活動の価値があると感じています。
この考え方が染み付いたのも、GCカタパルトにいたからこそです」
今でもUnlearn& Hackの実践者である濱本。目下の取り組みについて、彼は「新しい事業の確立にまい進するだけ」と話します。
GCカタパルトと関わることで、自らキャリアをデザインして、自分の中のパッションをベースに自律的に活躍できる社員が増えています。濱本にとっても文字通り彼にとっての発射台(カタパルト)の役割を果たしているといえます。「Unlearn & Hack」のマインドをパナソニック社内に根づかせ、社会の課題を解決すべく、今後も多くのカタパリストとともにまい進していきます。カタパリストの一員としての、濱本の今後の活躍を期待しています。