Dec 20, 2018

マルコメ×パナソニックのオープンイノベーションで踏み出す新・味噌ライフ(後編)

Game Changer Catapult

マルコメ×パナソニックのオープンイノベーションで踏み出す新・味噌ライフ(後編)

Personalized FoodとしてのMiso Ball

― 手作りの味噌を失敗せずに作れるようになったら、どんな世界が広がるだろうか。

両社でディスカッションを繰り返すうちに、味噌が健康によいというだけでなく、味噌汁と様々な具材を組み合わせながら体を整えるための工夫をするなど、実は多様な食べ方ができる魅力があることに気づきはじめました。

「一汁一菜」という、味噌汁一杯と菜(おかず)、そしてご飯の献立をあらわす言葉があります。「一汁一菜」という家庭料理のスタイルが近年見直されるなど、味噌をもう一度家庭料理の中核に考える動きの兆しを感じ、「カラダを整える味噌」というコンセプトがプロジェクトの中で次第に輪郭を持ってきました。

1.Personalized FoodとしてのMisoBall_MisoBall as a Personalized Food.png

Miso Ball ×ヘルシーライフ

味噌汁をライフスタイルの一部として訴求提案している多様な味噌汁の摂り方を提案できるようなレシピ監修者を探すなかで、出会ったのがミソガールこと藤本智子さんでした。今回のMiso Ballの原点になったのは、藤本さんが取り組む「みそまる」です。今回のプロトタイプは、彼女の協力を経て実現しています。おしゃれで便利な「みそまる」。戦国時代の携帯保存食「味噌玉」を、現代風にアレンジしています。味噌に、だし具材を混ぜて丸めた即席味噌汁の素で、お湯を注げば、いつでもどこでもおいしい味噌汁が楽しめる。味噌・だし・具材の組み合わせでバリエーションは無限大です。お弁当のおともに、仕事中のひと息に大活躍することができます。彼女は不規則な生活による肌荒れを劇的に変えてくれた味噌の素晴らしさを伝え広めるために普及活動を続けています。

2.みそガール藤本さん_Ms.Fujimoto(MisoGirl).jpg

3.味噌ボール種類_MisoBallMenu.png

サービスの提供方法として、今回のサービスには味噌を手作りするだけではなく、この「みそまる=Miso Ball」を作れる食材キットを届けることも提案することにしました。見た目に分かりやすい、かわいさと手軽さ、かつ保存料、添加物なしで活きた酵母を摂取できるという栄養の面からみた特長、なにより味噌の楽しみ方を提案したいと考えたからです。Miso Ballを作って楽しむことは、「自身の健康状態や嗜好に合わせて、体・気持ちを整える」という新たな食習慣の醸成や豊かな食体験にきっとがっていくはずです。

味噌×IoTが切り開く世界、今回のプロジェクトに感じている可能性

これまでマルコメが提案してきた商品とはまったく別方向の今回のサービス。
マルコメは業界全体の底上げを願い、「新たな手前味噌文化」の登場を期待しています。顧客のニーズが多様になる時代において、あえて"時間と手間をかける贅沢"、"自身と向き合い食を整えること"を求める顧客に寄り添っていきたいと考えています。時間を短縮する価値とは違う、手間をかけること、つながることで多様性が育っていくサービスです。

議論するなかで、今回のサービスが実現すれば、「この世界に同時に1000庫のあたらしい味噌蔵ができる」ということに気づきました。それは、ユーザーが今まで知りえなかった仲間とつながり、旬の食材を楽しみながら心を豊かにしていくコミュニティができるということに繋がります。

このサービスを通じて、味噌をつくるだけでなく、旬の食材とあわせたMiso Ballをつくって食べるという新しい食の楽しみ方を知る。ユーザー一人の食習慣が変わるだけではなく、人々の新しい関わりやつながりが生まれることにつながる、という可能性に私達は興奮しました。私たちが考える事業は「作って食べてつながれる場所」を提供することで世界に貢献するサービスであり、それを通じて心と体に美味しい食文化をつくることにつながると信じています。
5.味噌コミュニティ(モバイル画面)_MisoCommunityOnMobile.png

グローバルに味噌文化を広げる挑戦

6.味噌汁_MisoSoup.png

「早く商品化してください!」 「絶対欲しい!」 「味噌コミュニティ最高!」これは2018/3/10~13の期間、「サウス・バイ・サウスウエスト インタラクティブ部門」に出展した際の来場者からのお声です。「Panasonic House@SXSW2018」には全期間を通して4308名の来場者がありました。その中でもFerment2.0は非常に好評でした。

一番驚いたのは、当初は味噌と会話ができる「味噌ボット機能」が人気になると思っていたにもかかわらず、「味噌Friends」を地図上で探せる部分に非常に興味・関心を持っていただいたことです。コンセプト提案の段階でありながら非常に大きな手ごたえを感じることができ、このプロジェクトをよりひろげていきたいと強く思いました。

7.プロジェクト展示の様子_Ferment2.0PJ Image.jpg

8.投票ボード_VoteWall.jpg

最後に

- Pure Organic (保存料、添加物なし 活きた酵母)

- Personalize with you (個人の健康・気持ちにあわせた食べ方の提案)

- Creative Connection (顧客と直接つながれる /味噌を作る人がつながれるコミュニティ)

「究極のパーソナライズでありながらパブリック。みんなに合う食べ物ではなくて、わたしに合った食べ物であるにもかかわらず、一人で食べるのではなくみんなとつながれるもの。」一見、矛盾するような2つのニーズが、うまくバランスを取り合っているサービスでありたい。安心安全はもちろん、個人の健康や気持ちに合わせた味噌の利用方法を提供することで昔の文化の遺伝子を、"手作り"とスマートにつながる"コミュニティ"を通して、今後の新たな価値を提案していきたいと考えています。

幼少期に味わった祖母の味を再現できるような、食べるだけで泣けてくるような、記憶と体験をつなぐ価値を持つ味噌。我々が信じている味噌の可能性を、最大限に広げるサービスを皆さんに届けられるように、チーム一同取り組んでいければと思います。

9.味噌ボール作り_MakingMisoBall.jpg

10.Fermentメンバー_MemberOfFerment.jpg

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■アメリカにおける味噌のこと

11.みそガールアメリカMiso LadyinAmerica.png

海外での日本食レストランは約11万8千店*と年々増加し、鮨屋などで味噌汁を飲んだことのある外国人は増えています。このプロジェクトでは、海外向け提案はベーシックな豆腐や長ネギ、ほうれん草などスーパー等で手軽に手に入りやすい組み合わせをにしています。また、マルコメ株式会社のウェブサイトでは、肉や魚の漬け込みや、野菜炒めなど調味料としての用途でも使ってもらえるよう、レシピの拡充を進めています。

*農林水産省の「海外日本食レストラン数の調査結果」を参照http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/service/171107.html

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