Mar 1, 2018

SakeCooler ~New Yorkでの店舗実験を通じて~(後編)

Game Changer Catapult

SakeCooler ~New Yorkでの店舗実験を通じて~(後編)

Written by Sake Cooler リーダー 幸 裕弘

ニューヨーク式居酒屋ROKIでの店舗実験

前編でご紹介したように、ニューヨークの日本食居酒屋『ROKI』の萩原シェフにご協力頂き、12月に3日間の店舗実験を"強行"実施してきました。

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マンハッタン中心地に店を構えるROKI

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着席したら店主おすすめ酒が視線に入るという仮説を元に実験スタート

何故"強行"かと言えば、プロト開発にありがちなことに、綱渡りのスケジュールでの実施だったのです。出荷当日までメンバーがタッチパネルの挙動を調整し、表示コンテンツは現地到着までに何とか間に合わせる・・・チームメンバーがそれぞれ自分の業務を抱えた中でのギリギリライン。到着後はパナソニックの北米拠点の有志メンバーも業務調整して駆けつけてくれました。深夜の日本と連絡を取りながらタイムシフトで表示コンテンツを微調整。3日間の実験期間中にも表示内容が大胆に進化しました(笑)。非常にタイトなスケジュールでしたが、それでも何とか間に合い、ニューヨークで実験できることに感謝の気持ちでいっぱいでした。

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中央のカウンターにプロトタイプ実機を2台設置している様子

New York実験で感じたこと

ROKIは日本食居酒屋ですが、カジュアルにカクテルを頼むお客様もいれば、アルコールを飲まずに食事だけするお客様もいてスタイルは様々。3日間の実験では店主了解の下、日本酒かワインを注文したお客様を中心に「ちょっとした隙間時間」を狙って突撃インタビューを敢行!(北米拠点メンバーの手厚いサポートに感謝!)皆様快く第一印象や自分なりの意見アイディアを語ってくれました。

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 「繰り返し表示で飽きちゃう」という意見に納得

インタビューさせていただいた方々からは非常に生々しい声をいただきました。ダメ出し意見も多くありました。男女カップルのお客様からは「着席していた時からずっと気になっていたけど、繰り返しだと飽きちゃうよね」という意見が。一方でSAKE大好き青年からは「蔵元ストーリーこれだけ?もっと知りたいよ!」という声。言い訳ですが色々な事情で自分でも満足がいっていない完成度のデモの痛いところをいきなり突かれました...(涙)。よく聞いてみると、字は小さすぎるし情報が詰め込みすぎとのこと。

日本人的発想の欠点を痛感しました。「もっと写真出した方がよいね、歴史とかわかるといい」という指摘も。蔵元ストーリーを伝えるには写真が重要なようです。 酒蔵の昔からの風景がよいのか、蔵で働く人の笑顔がよいのか、といったような、新たな検証ポイントにも気づくことができました。「クイズとかもいいんじゃない?」という声も。私たちもクイズを準備していましたが色々あってデモ実装が間に合わなかったんです(涙)。情けない感じですが、もっと準備に時間をかけて臨みたかった・・・と反省が多い旅でした。3日間の実験を通じて「小型化」「コンテンツ強化」「画面の見やすさ向上」は必須改良要件だと改めて感じました。

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「クール!SAKE大好き!もっと蔵元ストーリー知りたいよ!」

一方でポジティブな声もたくさんいただくことができました。SAKE大好き女性組は盛り上がって「NYならSAKEを扱うワインショップが9割以上だから、そこに置いたら絶対目立つわ!」など自分よりも熱く20分ぐらい色んなアイディアを語ってくれました。また、SXSWに行ったときにも気づいたことですが、海外で日本酒を知っている人の中でも「日本酒は日本食と一緒に楽しむもの!」という固定概念が日本人以上にあるようです。チーズのような西洋食材と日本酒のフードペアリングというだけで驚かれる点はニューヨークでも再確認。まだまだ日本酒の世界を伝える余地は大いにあると再確認できました。このようなお客様の声を直に聴けたことは、非常に勇気づけられるものでした。また、若い方ほどSAKEに興味を示しているといったような市場の傾向の肌感覚もつかむことができました。

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日本から届いた更新データをデモに反映(ひとり孤独な作業...)

バタバタと準備して、社長報告の前週までになんとか間に合った3日間のニューヨーク店舗実験。チームメンバー含む社内外プロジェクト関係者と職場の皆様、ROKI萩原シェフおよびスタッフの皆様のご協力なくしては実現しませんでした。心から感謝しております。課題が見えたことは次へのステップを刻めるということ。3日間の気づきや期待の声を励みに次の準備ができればと思います。

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これはROKIの名物料理。このような店ごとのおススメ料理もフロント画面でPR

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実験最終日は雪でした

今後チャレンジしたいこと

「Sake Cooler」のような新規市場での新規商品創出は大変難しい取り組みです。また、日本酒自体も世界的にみるとワインに遠く及ばない市場の小ささで拡販しないのが現状のようです。 ですが今回のニューヨークでの実験を経て、SAKEのもつ可能性を改めて感じました。「Umami」を持った世界唯一の食中醸造酒として正しい情報が伝わり、興味を持ってひとくち試して貰えれば自然とファンが増えると思うので、Sake Coolerが個別銘柄のストーリーを伝えて少しずつでも世界のSAKE市場拡大にお役立ちできればと思っています。そして日本に旅行して美味しいSAKEを楽しむぞ!という観光需要喚起ができたら最高だな、と考えています。そのためには国内外の日本酒業界の方々にSake Coolerを喜んで使って貰う必要がありますから、よりオープンな仕組みとみんなで新しい価値をつくりだそうという共創のコミュニティが大切になると思っています。パナソニックだけではなく、私たちの想いに共感する業界関係者や企業が集まり、みんなで新しい世界観をサービスとして仕上げていく、そんな取り組みに昇華させることにチャレンジしたいと思っています。ご興味あるみなさまは、ぜひお声がけください。

【ROKI Le Izakaya】(ニューヨーク実験ご協力店舗)

12 W 21st St, New York, NY 10010 アメリカ合衆国

https://www.rokileizakaya.com/

+1 646-383-765

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