Apr 8, 2020

THE SDGs Action cardgame「X(クロス)」に挑戦

Game Changer Catapult

THE SDGs Action cardgame「X(クロス)」に挑戦

私たちGame Changer Catapult(以下、GCカタパルト)は、社会課題を解決することで世の中へ新しい価値をお届けすることを目指しています。SDGsの基本概念である社会課題への取り組みを体感し、より多角的な視点を得るため、「X(クロス)」に挑戦しました。

THE SDGs Action cardgame「X(クロス)」とは?

こんにちは、GCカタパルトで企画を担当している佐藤和樹です。私はこれまで、業務用音響機器の設計や事業企画、また国内&海外向けの家庭用薄型テレビの商品企画に携わってきました。BtoB事業、BtoC事業両方の経験を生かし、よりよい社会の実現に貢献するため、2019年夏からGCカタパルトのメンバーとして活動しています。社会を変える新しい文化や事業をカタパルトから発射するため、チーム全員で挑戦し続ける毎日です。

今回は、2019年11月に行われたあるワークショップに参加した際の模様をレポートします。このワークショップは、SDGsの発想から事業アイデアを生み出すカードゲームの体験ができるもの。「パナソニックにおけるSDGsの理解向上と、社会課題起点で事業を創出する取組みの促進」を目的として社内のブランドコミュニケーション本部が企画・実施したものです。

「SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』に記載された、2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています」。(*1)その考え方や取り組みは、私たちの社会へだんだんと浸透してきています。

ワークショップそのものは、タイトルにもあるとおり「X(クロス)」というカードゲームを用いて行われました。このX(クロス)というゲームは、金沢工業大学と株式会社リバースプロジェクトによる産学共同企画・開発の製品で、2019年5月に完成したものです。(*2)。

(*1)出典:外務省ホームページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

(*2)https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2019/0513_sdgs.html

02_カード_Card.jpg

金沢工業大学と株式会社リバースプロジェクトによる産学共同企画・開発された「X(クロス)」

今回は、株式会社リバースプロジェクト(以下、リバースプロジェクト)会長の龜石太夏匡氏、同社の商社部門である株式会社リバースプロジェクトトレーディングより代表取締役の河合崇氏、そしてゲームファシリテータとしてリバースプロジェクトの関根優作氏の3名に講師として来ていただきました。

リバースプロジェクトは「人間がこれまでもたらした環境や社会への影響を見つめなおし、未来における生活を、新たなビジネスを通して提案」することを掲げて企業活動をされており、SDGsの観点では、衣・食・住・芸術・教育の5つのアプローチで取り組まれています。

SDGsをとりまく「トレードオフ」と「リソース」

いよいよ、X(クロス)を用いたワークショップが始まりました! カードは34枚の「トレードオフカード」と34枚の「リソースカード」で構成されています。

私が面白いなと思ったのは、「トレードオフカード」の存在。トレードオフとは「何かを得た際に、何かを犠牲にすること」であり、「誰一人取り残さない」という考えが根底にあるSDGsの17のゴール間、もしくは「環境」・「社会」・「経済」の3要素の間に発生します。トレードオフの解決ができなければ、 SDGsの実現はあり得ません。

実社会では、一つの社会課題を解決したと思ったら、それによって新しい社会課題が引き起こされるということが多く発生します。これらの課題は従来の解決策では対応できず、新しい考え方が必要です。

このカードゲームでは、伝統的なイノベーション創出の考え方である「新結合」という概念を取り入れています。新結合とは異なる既存の考え方をかけあわせて、新しいアイデアを生み出すことです。つまり、このゲームをプレイすることにより、SDGsの課題に向き合いながらイノベーションの創出方法を習得することができるのです。

トレードオフカードには、SDGsの各ゴールと、各ゴールの達成によりトレードオフで発生する新しい問題がイラストと文章で描かれています。各トレードオフカードに書かれている悩みは、実際にSDGsの達成のために取り組む人々が悩んでいる課題。それをリソースカードによって解決するというのが、このワークショップの趣旨です。リソースカードには、「スポーツ」「音楽」「建築」「ゲーム」「有名人」「結婚」など、課題解決のために有効活用しうる人・モノ等のリソースがイラストと名称で描かれています。

03_トレードオフカード_TradeoffCard.png

トレードオフカードの一例

ゲームで「破壊的イノベーターの5つのスキル」を体験

このゲームは、イノベーションを起こすためのアカデミックな研究にも基づいています。カードゲームを通じて、クリステンセン氏が著書「イノベーションのDNA」で提唱している、破壊的イノベータに共通する5つのスキル①関連付け ②質問力 ③観察力 ④ネットワーク力 ⑤実験力を体験します。

今回のワークショップでは、3人の参加者が、手持ちのリソースカードを使って課題解決に取り組みました。

まずは、ファシリテータを決めます。

次に、ファシリテータは各プレイヤーに3枚ずつリソースカードを配ります。

私の手元には「スポーツ」「人工衛星」「お笑い」のリソースカードが配られました。そして、ファシリテータがめくったトレードオフカードは「住み続けられるまちづくりを」。こちらのトレードオフカードに書かれているのは「誰でも使える公共スペース・緑地スペースを増やした結果、ホームレスが増加し治安が悪くなり始めた」という課題です。

プレイヤーは、手持ちのリソースカードを 1 枚使って、トレードオフカードに 記されている状態を解決することに役に立つ、面白い、創造的なアイデ アを考えます。私が参加したチームでは、各人が手持ちから「お笑い」「ファッション」「VR」のリソースカードを一枚ずつ出していきました。

これらリソースカードを元にして出たアイデアは、「『VR』技術導入により、実際に治安の悪い地域へ行かずとも、バーチャルで訪れることができるようにしつつ、『お笑い』や『ファッションショー』関連のイベント誘致を行うことで、その地域の経済循環の改善に取り組んでいく」というもの。

この「こじつけ感」が、参加している方にとっては結構楽しいのです。2回戦、3回戦と進むに連れ、手持ちのリソースカードが減っていくので、アイデア創出の難易度はどんどん上がっていきますが、これもこのゲームのおもしろいところですね。 04_リソースカード_ResourceCard.JPGゲームをしている様子、各人が手持ちからリソースカードを出していきます

「既成概念に捉われない自由な発想」が、「未来のカデン」をつくっていく

実際にX(クロス)のワークショップに参加してみて、このゲームには3つの良い効果があると感じました。

第一にSDGsへの理解が深まること。ゲームそのものの課題提起がSDGsに沿ったものになっているので、当然のことながら、何度かプレイしているうちに自然とそれぞれの課題への理解が深まります。

そして発想の練習にもなります。ブレストやアイデア出しのトレーニングツールとしても有用です。簡単に利用できますし、脳みそを強制的にリセットするような練習になります。

また、一緒にプレーした人の人となりがわかるのも非常に良い点だと思います。それぞれがどんな考え方を持っているのか、どんな特性があるのか(アイデアを出すのが得意、アイデアを誘導してうまく結論を引き出す、人をのせるのに長けている、など)ということを理解しやすいと感じました。チームでこのようなワークショップをすることで、お互いの理解がより深まり、チームビルディングの助けになるかもしれません。

今回のワークショップへ参加した目的は、より多角的に社会課題を捉えるため、SDGsの基本概念である「誰一人取り残さず」と、トレードオフの課題も含めた社会課題解決への取り組みを体感することでした。

実際に参加してみて、課題へ向き合う時の「既成概念に捉われない自由な発想」を持ち続けることの難しさと重要さを知ることができました。GCカタパルトの目指す、社会課題解決による新しい価値の提供、そして未来の「カデン」づくりにおいても、この「既成概念にとらわれない自由な発想」は必要不可欠です。その意味でも自由にアイデアを創出するプロセスを短時間で体感できたことは非常に有意義でした。

今回のワークショップで学んだことを生かしつつ、今後も社会課題解決に向けたアイデアを創出し、未来の「カデン」づくりに邁進していきます!

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