Feb 18, 2019

人生100年時代、幸せに生きたい。 - DECARTEでQuality of Lifeを向上させる -

Game Changer Catapult

人生100年時代、幸せに生きたい。 - DECARTEでQuality of Lifeを向上させる -

「いつまでも楽しく」 「いつまでも元気に」 「いつまでも美味しく」では、わたしたちは、いったい何歳まで健康で幸せに生きられるのでしょうか?今、単なる「長生き」ではなく 「健康寿命」に注目が集まっています。健康では生きられない「平均寿命」と「健康寿命」のギャップが10年間ある、との統計データが存在します。ではこのギャップを埋めるためにはどうすればよいのでしょうか。

実は"老い"は お口から始まる

私たちのチームはDECARTEという口腔内セルフチェックシステムを世に出そうと取り組んでいます。なぜ口腔内の健康に着目するのか。実は「老い」と「お口」には密接な関係があるからです。お口の機能が低下すると、筋力低下や誤飲性肺炎が引き起こされ、それらの悪影響が相互作用して急速に身体が老化し、その結果、寝たきりになったり認知症の発生リスクも高まることが報告されています。*1

そして実は、老化だけでなく、病気も、お口が大きな原因のひとつとなっています。口腔ケアを怠ると、癌や糖尿病や脳梗塞のリスクが増えることが明らかになっています。高齢大国日本で、このリスクを放置して良いわけがありません。

この点に注目して、私たちは約100名の個人・会社・施設・医療関係者にDECARTEの受容性インタビューしました。DECARTEのサービスは歯への健康の意識醸成をサポートでき、専門家との事前の画像を介したコミュニケーションを可能にします。その結果、「持続的に口腔ケアができる、というベネフィット」は「高齢者」「訪問歯科」 に高い受容性があることを改めて認識しました。

「何本かの歯が既に無くなってしまったけど、今ある残りの歯は何とかして残したい」「歯がぐらついてきたけど、出来れば入れ歯になりたくない」「自分の歯で食べ続けたい」「定期的に歯科医にかかるべきだけど、交通の便が悪かったり、体調が悪かったり、連れて行ってくれる家族との都合が合わなかったりして歯科医院頻繁に通うことができない。」「入れ歯は痛い、不快、頭痛、違和感、噛み合わせが悪い、臭いが気になる」「歯医者に行けないけど歯医者さんに診てもらいたい」そう思っている方が、見えないところにたくさんいます。

ある統計データによれば*2、歯科治療が必要な人の割合は、要介護者では約90%に達します。それにも関わらず、実際に受診できている人の割合は三割未満。つまり残りの大多数は「必要なのに受診できていない」とのことです。訪問歯科という選択肢はあるものの、十分に需要を満たせていない実態があります。

加齢と共に歯が無くなって元気まで無くなってしまった祖父母や父母を持つ方は非常に多いと思います。

お口の健康を助けて、健康寿命の伸長につながる、そんな提案をしたい。それがDECARTEというサービスに込めた思いです。新しいソリューションであっても身近に感じられて、簡単に使えて、使い続けられるサービスにしたい。これらを念頭に置きながら、どのような人たち困っているのか、どのような人たちが受け入れやすいのかを多方面から模索し、インタビューや観察・視察を繰り返しました。

  • 8月 ビジネスマン・妊婦(京都/大阪,35人)
  • 9月 デンタルショー歯科医(仙台,15人)
  • 10月 歯科コンサル(大阪,2人)/ 歯科医(大阪,4人)/歯科衛生士(大阪,5人)/たまひよイベント参加者妊婦(横浜,20人)
  • 11月 訪問歯科医(3人)/介護施設(2件)/大学(大阪,1件)
  • 12月 歯科医(大阪,1人)/大学(福岡,1件)

4_ヒアリングの様子_DECARTE team went to hearing.JPGたまひよイベントに参加した時の様子

ヒアリングの相手がバリエーション豊かなことからわかるように、実は、最初から高齢者をターゲットにしたのではないんです。ヒアリングを始めたころは、忙しくて歯医者にいく時間を確保しにくいビジネスマンや、歯周病が早産リスクに直結する妊婦さんも対象に入れて、それぞれのターゲットについてインタビューを繰り返しました。デンタルショーなどの機会で、歯科医の方から現場の課題をヒアリングすることにも注力しました。複数の歯科医から話を聞くことで、患者の年齢・性別による傾向や要望・困り事など貴重な見解をたくさん聞く事ができました。

その中で、より治療の必要性・頻度・緊急性が高いにも関わらずなかなか治療を受けられていないのは高齢者だという実態がわかってきたんです。まずはサ高住等の高齢者向け施設利用者がより早く快適に訪問歯科治療を受けられるようにできないだろうか。そうすればいつまでもお元気で食事を美味しく味わい、自分の歯で食べる喜びを提供できると考えました。

活動を進める中で、そんな方々のために活動している訪問歯科医と衛生士さんたちと出会ったことも、プロジェクトを進める上で大きなターニングポイントになりました。活動を知って感動した一方で、時間の制約や人員の確保が出来ないために、ニーズがあるにもかかわらず訪問診療に踏み出せていない歯科医が多くいることも知りました。

5_歯科医師からのヒアリングの様子_interview with many dentists.JPG歯科医師にインタビューさせていただいた時の様子

Quality of Lifeを向上させるため、DECARTEができること

我々の提案する口腔内セルフチェックシステムを利用していただく事で、ユーザーは口腔内を簡単に撮影し、その場で虫歯や歯周病などのリスクを知ることが出来ます。データをUPすれば衛生士やかかりつけ医と口腔内写真を共有できます。それにより、今までより質の高い治療やアドバイスを歯科医から受けることが出来る可能性を検討しています 将来的にはAI画像認識によるアドバイスが受けられることも考えています。

我々は、この口腔内セルフチェックシステムがまるで体温計のように手軽に自宅や施設で口腔内の状態を把握できる身近なツールとなることを夢見ています。それによって「予防」への意識をも高まり、Quality of Life (QOL)を実現でき、社会全体に貢献できると考えています。

もちろん、高齢者の方だけが対象ではありません。当初から想定していたビジネスパーソンや妊婦さん、そして団塊の世代も対象です。あるインタビューで聞いた話をひとつ紹介します。「父は、かつて働き盛りだった40代のころ、仕事の都合でなかなか歯医者に行けず、十分なセルフケアも出来ていなかったようです。昔気質のひとなので、からだの不調があってもすぐに病院へは行かないし、お酒が好きで、飲んだらそのまま寝てしまうこともあるみたい。いまは離れて暮らしているのですが、歯がなくなるごとに食が細くなって元気もなくなっていくような感じがして、今まで以上に心配なので、「からだの健康は歯の健康から」をサポートしてくれるものが生活習慣みたいに使われれば、いまある歯を保つことに父が前向きになって、健康で長生きしてくれるんじゃないかな。そうなったらうれしいです。」  この言葉は、DECARTEを少しでも早く、たくさんのユーザーさんに使っていただけるようにしなければ、と気持ちを奮い立たせる助けになっています。

将来的には、共働き/子育て世代のお子さんの仕上げ磨きの助けや、部活/勉強で忙しい学生さん、ホワイトニングや矯正などの審美歯科に興味をお持ちの歯への意識が高い人など、「歯を守りたい、きれいにしたい」と考えている多くの人のお役に立てる提案にしたいと考えています。  新しいことに取り組むことの独特な難しさはたくさんありますが、それらを遣り甲斐に変えながら今後も頑張っていきたいと思いますので、応援してください。

*1「食(栄養)および口腔機能に着目した加齢症候群の概念の確立と介護予防(虚弱化予防)から要介護状態に至る口腔ケアの包括的対策の構築に関する研究」報告書

*2厚生労働省第15回社会保障審議会医療部会資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zap2-att/2r9852000000zat4.pdf

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