Nov 30, 2018

日本で初めての総合出展! Game Changer Catapultの各チームがつかんだ展望とは?「NEXT100」レポート

Game Changer Catapult

日本で初めての総合出展! Game Changer Catapultの各チームがつかんだ展望とは?「NEXT100」レポート

家電領域を中心とした新規事業の創出を担うGame Changer Catapult(ゲームチェンジャー・カタパルト)。10月30日から11月2日まで、東京国際フォーラムで開催されたパナソニック「クロスバリューイノベーションフォーラム2018」の中の「NEXT100」展示の一つとして、現在進行中の6つのプロジェクトを出展した際の様子を、各プロジェクトのリーダーやメンバーの声と共にレポートします。

オープンイノベーションを加速させる「NEXT100」

2018年3月に創業100周年を迎えたパナソニックが開催した「クロスバリューイノベーションフォーラム2018」。このフォーラムにおける数多くのプログラムの中でも、10月30日から11月2日の4日間にわたって開催されたのが「NEXT100」です。これはパナソニックで行われている、次の100年をつくる新規事業創出活動に関連するプロジェクトを集めたイベント。さまざまなパートナーと未来のビジネスを共に語り、創るオープンイノベーションの場として開催されました。

2_NEXT100会場の様子_NEXT100 Venue.jpg

主な目的は、新しい事業アイデアに共感する共創パートナーを探して、オープンイノベーションを加速させること。来場者との直接的なコミュニケーションを通じて各アイデアの仮説検証を行い、今後の事業化に向けた活動を促進させることも狙いのひとつです。そして、社内および社外の方に向けてプロジェクトのことを知っていただき、協力いただいている方々へ進捗をご報告するといった重要な機会でもありました。

3_NEXT100会場の様子_NEXT100 Venue.jpg

会場となった東京国際フォーラムB7ホールでは、中央にメインステージが設置され、登壇者やスタートアップ業界で活躍しているゲストによるプレゼンテーションが行われており、それぞれのスタイルで耳を傾ける観覧者で賑わいをみせていました。場内の展示スペースはGame Changer Catapultの6つのプロジェクトによるブースの他、100BANCHの出展や、カフェコーナーもあり、若いビジネスマンやクリエイターの方、外国人のお客様の姿も数多く見られ、平日にも関わらず4日間で延べ7800人以上が訪れました。

4_発表する谷口の写真__Picture of Taniguchi at NEXT100.jpg

「NEXT100」は日本市場での反響を占うことができる初めての機会

5_NEXT100会場の様子_NEXT100 Venue.jpg

Game Changer Catapultはこれまでにもさまざまなイベントに出展してきましたが、一般のお客様との交流は、アメリカ・テキサス州オースティンで開催される「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」がメイン。日本で一般の人たちに事業アイディアを一度に多数お見せするのは、実は今回が初めてなんです*。

6_NEXT100会場の様子_NEXT100 Venue.jpg

「NEXT100」に出展したのはAMP(エーエムピー)、Aromation(アロメーション)、totteMEAL(トッテミール)、OniRobot(オニロボ)、Ferment 2.0(ファーメント2.0)、Sylphid(シルフィード)の6つ。各ブースにはプロトタイプや製品・サービスを紹介したパンフレットが置かれ、来場者との活発な議論が行われました。各プロジェクトのリーダーやメンバーはメインステージで行われたピッチセッションにも登場。事業化を目指す熱い思いを語ってくれました。

AMP:市場のスピード感に合わせ、一刻も早い事業化を目指す

7_AMPブースの写真_Picture of AMP booth.jpg

最初に訪れたのはAMPのブース。AMPはアート作品のような映像を正方形のディスプレイで表現することで、空間そのものの価値を高める新しいインテリアの事業アイディアです。ブース自体をリビングルームと見立ててつくり、映像と音楽、空間の調和が実際に体験できるようになっていました。現在はアーティストとのつながりを構築中で、実際に商品を置いていただくパートナーを増やしているところ。事業化まであと一歩のところまで進んでいます。

8_AMPブースの写真_Picture of AMP booth.jpg

「AMPは2016年にスタートし、これまでにコンセプトの理解を広げることは十分にやってきたかなと思っています。なので、実際にAMPを使いたいというお客様や、クリエイターとしてこのプロジェクトに参加したいという人との出会いが目的です。」と話すのはリーダーの谷口旭。実際にホテルの内装デザインを手掛ける会社が興味を持ってくれたり、製品のコンセプトに共感を持ってくれる人と話が弾んだり、「NEXT100」での反響は期待していた以上に大きかったそうです。

9_AMPブース 谷口の写真_Picture of Taniguchi at AMP booth.jpg

賛否が分かれるのは分かっていましたが、そこが面白いところ。アメリカでは好評をいただいていましたが、日本にも価値を理解してくれる人が予想以上にたくさんいることが分かり、これからの励みになりました。」プロジェクトがスタートしてから時間が経っているので、事業化を進めるスピード感がマーケットにマッチしているのかということが課題。一刻も早く事業化することを目指します。

Aromation:一瞬でハッピーになれる香りの文化を日本に根付かせたい

10_Aromationの写真_Picture of Aromation.jpg

真っ暗にした部屋の中でデモンストレーションを行っていたAromation。その日、その時によって変わる人間の感情。その感情に寄り添う音楽にぴったりな香りを調合し、新しい香りの体験を楽しむことができます。リーダーの横田雅美に、「NEXT100」での目的を聞きました。「今年のSXSWに出展したことでアメリカでの反応は分かっていたので、日本人にはAromationがどう受け止められるのか生の声を聞きたいと思っていました」とのこと。

11_インタビューに答える横田の写真_Picture of Yokota at NEXT100.jpg

「おもしろい発見だったのは、アメリカでは自分の感情として赤(エキサイト)を選ぶ人が多かったのに対して、東京ではビジネスマンの来場者が多く、黄(緊張)を選んだ人が多かったこと。国民性やイベント時での試している環境の違いが出ているのかもしれませんね。それでも最後に今の自分の感情に適した香りが出てくると、みなさんとてもいい顔になります。香りというものが脳に直接作用し、人々をハッピーにさせるという価値は共通なのではないかと、改めて実感しました。」

12_Aromationブースの写真_Picture of Aromation booth.jpg

現状の進捗としてはサービスモデルを練り上げている状況で、より多くの人たちの声を集めている段階。今後は香りと音楽や映像をどのように連動させて、いかにパナソニックらしい取り組みへと昇華させていくことが重要とのこと。「香りは一瞬で幸せになれる力を秘めているので、日本にも香りを楽しむ文化がもっと根付いてほしいですね。一日の中でさまざまなものを聴いて楽しむ音楽のように、香りが身近にあるライフスタイルの魅力を広めていきたいです。」

totteMEAL:早期に事業化し、ランチ難民などの課題解決を目指す

13_totteMEALブース 井上の写真_Picture of Inoue at totteMEAL booth.jpg

totteMEALのブースでは、リーダーの井上貴之がお弁当の無人販売の仕組みを説明していました。冷蔵庫に後付けのIoTデバイスを取り付け、アプリやフードを提供するパートナーと連携することで豊かな食生活を提供するフードソリューションtotteMEAL。まずは「NEXT100」への出展に期待することを聞きました。「totteMEALの機器を使っていただけるお客様を見つけることです。また、IoTデバイスの用途は何も冷蔵庫に限りません。その拡張性が特長なので、例えば会議室に取り付ければシェアオフィスになるなど、食分野以外のアイディアを提案してくれるパートナーも見つけたいです。」

14_totteMEALブースの写真_Picture of totteMEAL booth.jpg

これまでに食品関連企業の協力を得て、実証実験を繰り返すたびに手応えを感じてきたといいます。「NEXT100」でも、来場者からは「すぐにでもオフィスに導入したい」という声や、「うちの事業でこんな使い方をしたい」というビジネスの新しいアイディアを提案する声など多数届いたそうです。「事業化を進めるにあたり、社内での認知度を高めて応援してもらうことも必要だと考えています。社内でも実証実験をしていたおかげで、思っていた以上に知っているよと声をかけてくれた幹部が多かったことに驚きました。」と、totteMEALの認知度を改めて確認することができました。

15_totteMEALブースの写真_Picture of totteMEAL booth.jpg

実は、プロジェクトの進捗に関しては最終調整の段階まで進んでいます。「大きなハードルはtotteMEALを利用してくれる人、totteMEALを置いてくれる場所(会社)、決済の手段という3点でしたが、最初の2点は解決の目途が立ってきました。」早期に事業化することを目指してチャレンジが続きます。

OniRobot:職人の手握り再現でおにぎりのグローバル化を狙う

16_OniRobotブース 加古の写真_Picture of Kako at OniRobot booth.jpg

海外でのブームの予感を感じさせる日本のおにぎり。OniRobotはそこに商機を見出し、ふんわりした職人の握り方を再現したおにぎりロボットと専用アプリでおにぎりのグローバル化を狙います。ブースではプロトタイプを使って来場者への説明を行っていました。職人の握り方についての基本的な技術は完成しているとのこと。リーダーの加古さおりが、「いくつかの技術的な課題は残していますが、現状はサービスを担当してくれるパートナーや販路を開拓しているところまで進んでいます。海外ではおにぎりの人気が高まっていますが、問題は職人不足。OniRobotが役立ってくれるのではないかと期待しています」と話してくれました。

17_OniRobotブースの写真_Picture of OniRobot booth.jpg

これまでに出展したSXSWやスマートキッチン・サミット・ジャパン 2018では大きな反響を呼んだOniRobot。今回の「NEXT100」でも「飲食店経営者の方々からの期待する声は多数いただきました。おそらく事業化したらそこそこの引き合いはあるだろうなと感じています。だからこそ、安いコストで製造できるようにしなければいけないという課題を感じています。」

最後にこれからの意気込みを聞きました。「これまでのパナソニックでは完璧に仕上げないと製品として出せませんでしたが、カスタマイズできる強みとアプリというサービスを組み合わせるので、早めにローンチすることができます。ぜひこれまでやってこなかった市場への参入を早めに実現したいですね。」海外での成功を狙うと共に、もちろん日本市場での展開も考えています。

Ferment 2.0:最終的な目標は味噌造りを通じたコミュニティ創り

18_Ferment 2.0ブースの写真_Picture of Ferment 2.0 booth.jpg

Ferment 2.0は味噌づくりを気軽に家庭で楽しんでもらうためのキットやサービスを提供するもの。この事業アイディアは、マルコメ株式会社と株式会社パナソニックとで進めている共同プロジェクトです。味噌づくりの材料キットはマルコメが、味噌の熟成状況をモニタリングするスティックとアプリはパナソニックが開発を担当。現在、味噌文化を大事にしている地域のパートナーや、こんな味噌を食べたい、使いたい味噌文化をリミックスしていきたいと考えるパートナーを探しています。

19_Ferment 2.0ブース 木村の写真_Picture of Kimura at Ferment 2.0 booth.jpg

「NEXT100で期待したいことはパートナーを見つけることですが、最終的に目指しているのは味噌が身近にある社会」と話すのはプロジェクトメンバーの木村文香。「味噌づくりのプロセスがIoTで繋がることで、地元の大豆を使った自家製味噌を使ったこだわりの料理を出すレストランが出てきたり、これまでに地元の人しか食べていなかった珍しい味噌を他の地域の人たちが簡単に手にすることができたり、生産者と消費者が繋がり、拡がる世界を目指しています。それを実現できる人たちとの出会いも期待したいです。」

SXSWでは味噌づくりによるコミュニティを示すマップが好評でしたが、「NEXT100」ではアプリで味噌と会話できる機能が人気を集めていました。「多くの来場者からいつ発売されるのか質問されました。今流通している味噌の中でも一般の人たちが見たり食べたりするのはそのうちのわずか数パーセント。今まであまり知られてこなかった味噌や発酵のことを知ってもらう機会になるのはとても喜ばしいことです。」現在、味噌づくりは田舎の文化や風習になっていますが、デジタル化することで多くの人たちに共感してもらえるのがFerment 2.0の強み。その魅力を活かして、味噌のコミュニティづくりを目指します。

Sylphid:ホワイトニングの一般化で、日本でも商機が生まれる

20_Sylphidブース 大槻の写真_Picture of Otsuki at Sylphid booth.jpg

最後に訪れたのは、歯のホワイトニングの問題点のひとつである知覚過敏による歯の痛みを解決するSylphidのブースです。二酸化炭素と水から独自技術で生成した有効成分のOHラジカルで、痛みを感じさせずに歯の色素を分解。約8割以上もの人がホワイトニングをしているというアメリカでの事業化を目指しています。「NEXT100」への出展の狙いについて、プロジェクトメンバーの大槻優は「日本人はどのような反応を示すのか確認すること。私たちの仮説では、ビジネスで人前に出る機会が多い人ほど歯の美しさを意識しているはずなので、そのような方々にSylphidがどう映るのかを確かめたいと思いました」と話します。

21_Sylphidブースの写真_Picture of Sylphid booth.jpg

ホワイニングの経験のある来場者からは、早くつくってほしいとった声が数多く集まりました。一方で、ホワイトニング未経験者にコンセプトを理解してもらうのに苦労したそうです。「日本ではまず興味を持ってくれるのは女性です。しかし、男性でも喫煙者の方で歯の黄ばみが気になるという人もいましたので、ホワイトニングは日本でも一般化していくのではという可能性も感じました。」

22_Sylphidブースの写真_Picture of Sylphid booth.jpg

現在、牛の歯での実験に取り組んでいる最中。その後は抜いた人間の歯で実験を行い、さらにモニターとなる人たちを対象に実験を通じて検証していくという作業が予定されています。「臨床データを取得するには時間がかかりますが、加速して取り組んで参ります。」とのこと。しかし、ホワイトニング経験者にとっての痛みは世界共通の悩みであることが分かったのは大きな成果でした。製品化を望むたくさんの人たちの声によって、モチベーションはさらにアップしたようです。

NEXT100を終えて

6つのプロジェクトそれぞれが、「NEXT100」を通じて今後の実証実験についてのパートナーを見つけたり、日本の市場における生の声をたくさん聞くことができました。プロジェクトはそれぞれの課題を抱えていますが、今後も事業化に向けて取り組んでいく予定です。新しく生まれるオープンイノベーションにぜひご期待ください。

*一部の事業アイディアは今年の夏に開催されたスマートキッチン・サミット・ジャパン2018にも参加しています。その時の様子はこちら。

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