Jun 10, 2022

Game Changer Catapult 2021年度総括―4名のメンターが振り返る6期生へのサポート体制

Game Changer Catapult

Game Changer Catapult 2021年度総括―4名のメンターが振り返る6期生へのサポート体制

Written by Game Changer Catapult 事務局

新規事業アイデアを募集し、未来の「カデン」創出を目指すGame Changer Catapult(以下、GCカタパルト)では、新規事業創出活動をするメンバーをサポートするため、各プロジェクトにメインとサブ、2名ずつメンターを配置しています。
6期生のメンターを担当したのは、池田 雅子、布施 真絵、横田 雅美、清水 辰哉、鍛冶 茉里奈、向奥 裕基で、今回はそのうち以下4名で座談会を実施。新型コロナウイルスの影響で新しい生活様式が定着しつつある2021年度の活動を振り返りました。

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チームを見守り、まとめる。メンバーとメンターの適切な距離感

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池田:こんにちは。私は、過去4回のビジネスコンテストでメンターを経験しました。今回担当しているのは、夫婦ふたりでの主体的な育児参画を実現する「COYA(コーヤ)」と、聴覚障がい者の外出をサポートする「コデカケ」です。メンターとしての関わり方は人それぞれかと思いますが、私はメンバーの想いを一番大切にしています。プロジェクトの方向性はメンバーが決めるもの。メンバーが必要とする情報を提示し、将来像や解決したいことを一緒に考えるように心掛けています。

布施:私はメインとして自宅で手軽に蒸気浴ができる「FLOWUS(フローアス)」、サブとして池田と同じ「COYA」、そして自力で歩行できる健康寿命を延ばすためのソリューション「ツヅクンデス」のメンターを担当しました。メンバーの主体性を大切にしつつ、チームから相談しやすい寄り添い型のメンターになれるよう心掛けています。

清水:ストレスフルな現代社会で、マインドフルな思考の醸成を促す「KagaMe(カガミー)」を担当した清水です。メンターとしては2年ぶり、2回目です。1回目は、チームメンバーが若かったため先輩という立場でアドバイスをしていましたが、今回はベテランと若手のバランスが良かったため、チームをまとめることに意識を向けていました。メンバー内で役割分担ができていない場合だと、やることがある人とない人がでてくることがあるので、全体のモチベーションアップを図るために、そのあたりに注意しましたね。

横田:私は、発達に特性のある子どもの個性を伸ばす教育サービス「Ipsum(イプソマ)」をメインとし、「KagaMe」のサブメンターも勤めました。教えて引っ張っていくのではなく、メンバーが自分自身で考えてプロジェクトを進めていけるのが大切かな、と思っています。メンターが自分の意見を言い過ぎたり、評論家のような立場にならないよう注意しています。

プロジェクトの転換期、そのときメンターは

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池田:新規事業を進めていくと、さまざまな壁にぶつかることがあります。「コデカケ」の場合、当初は聴覚障がいのある方が自宅にいるときの課題を解決するソリューションでした。しかし、ヒアリングを重ねた結果、多くの方が外出時に不安や課題を感じていることがわかり、現在の方向性へピボット。今まで考えていたアイデアを一度リセットし、課題を抱えるお客様に寄り添ったものへと大きく方向転換したチームの決断は、わたしにとっても大変勉強になりましたね。

布施:FLOWUS」は、リーダーの想いが強く、チームを引っ張っていました。しかし、リーダーも通常業務と並行しているため、多忙につき、プロジェクトが思うように進められない時期がありました。両立する難しさに悩んでいる中、このプロジェクトを必要としてくれている人が必ずいる、といった新規事業の意義を話し、少しずつでも取り組めるよう全力でサポートをしました。

清水:KagaMe」は、マインドフルという目に見えないものを扱うサービスです。そのため、まずは、サービスを提供するユーザーと、プロジェクトで解決すべき課題を明確にすることから始まりました。ターゲットが幅広い分、サービス内容もさまざまな可能性を秘めているので、具体的にしていく作業には時間がかかりましたね。私もメンターとして一緒に悩みながら取り組みました。

池田:COYA」も類似したサービスとどう違うのかを理解してもらうのに苦労していました。自分たちが思い描く世界観を伝える難しさは、新規事業にはよくあることかもしれません。

横田:その点「Ipsum」は、最初からビジョンが明確だったように思います。パナソニックの技術を活用しながら事業化する意義も追求していて、他部署や社内の研究所へ熱心にアポイントを取っていました。ただ、研究部門は実装に向けた検討の時間軸が長く、我々の時間軸とは合わない事もあるので、やみくもにアポイントを取るのではなく、効率的な動きができるようアドバイスをしていました。

布施:私たちメンターも迷うことがあります。メンターが2名体制で良かったな、と思いました。困ったときは相談しながら取り組むことができます。

横田:2021年度も前年に引き続きオンラインでの会議が主流だったので、自分の担当していないチームの動きが見えにくい事も多かったですが、メンター同士もこまめに情報共有をしていましたね。

コロナ禍での困難も乗り越え、新たな取り組み「有償検証」で可能性を切り開く

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池田:2021年度から、検証の質を高めるため、実際に顧客からお金をいただいて検証を行う有償実験をしていますが、テーマごとに違った大変さがあると思います。「コデカケ」の場合、プロトタイプを使用するにあたり、対面であることが不可欠でしたが、コロナ禍というのもあり慎重に進める必要があって、非常に苦労しました。大変なこともいろいろありましたが、プロトタイプを実際に使ってもらうことで「この商品が欲しい」という顧客の生の声を直接聞けたので、大きな励みになりました。

布施:FLOWUS」の場合は、メンタルに不調を感じているターゲットを探すのが大変でした。インタビューや検証協力をお願いしていても、連絡が途絶えてしまうこともありました

池田:課題の深掘りフェーズのヒアリングでは「このサービスが欲しい」という人が多くいても、有償実験に協力いただける方がそれと同じ数だけ集まるとは限りませんものね。

布施:そうですね。ただ、商品を届けた後の、使用方法の説明といったアフターフォローや、使用後の感想のヒアリングをどのように実施するかなど、細部までプロジェクトを詰めていく良い機会になったのではないかと思っています。

横田:Ipsum」のターゲットは、発達に特性のある子どもとその親です。社内で参加者を募ったところ80人近く集まり、想像以上の数の多さに驚きました。まずは、2組の親子にオンラインでワークショップを体験してもらいました。子どもたちの反応を見ることで、手ごたえのあるデータが取れ、チームの士気も上がったように感じましたね。

清水:KagaMe」は、有償実験のフェーズまではたどり着けず、無償でのトライアルを続けています。現状あるものを組み合わせてプロトタイプを作るなど、提供方法を工夫し、価値を感じてもらえるよう取り組んでいましたね。

池田:今年はオンラインイベント「CNET Japan Live 2022」で、各チームが事業アイデアを発表しました。リアル会場と違い、オンラインでの発表は慣れない部分も多かったと思いますが、それぞれの魅力がよく伝わっていたと思います。

布施:初めての経験だったので、社外の方向けに発信する際の注意点をメンバーと一緒に学びました。ターゲット以外の方の声も聞けるのでいい刺激になったと思います。

清水:フィードバックは得られたように感じましたね。発表は社内ピッチでしていた経験も活かせたのではないかと思います。

横田:どのチームのメンバーも熱い想いが画面から伝わってきて、感動しました。ただ、今までの展示会と違いオンラインなので、お客様と直接的にやり取りができず、オンライン上でもどうコミュニケーションを取っていくか課題は残ったかなとも思います。

メンバーとのつながりは財産。オンラインならではのメリットと難しさ 5_image_of_2021review.png

池田:こうやって話しているとチームごとにカラーが違うのがわかります。オンラインでのコミュニケーションの取り方もそうですが、過去のメンターとしての経験が今年も活かせるとは限らないのが難しいところでもあり、また、新たな学びであったりもします。

布施:一昨年までは、担当チーム以外でもビジネスコンテストの参加者同士横のつながりがあったのですが、昨年に続き今年もオンラインだったのでやや希薄に感じてしまいました。一方で、勤務拠点が遠方であってもチームが組めるなど、オンラインならではの利点もあったと思います。

清水:KagaMe」は、その点同じ部署の人々の集まりだったので、日々顔を合わせていました。しかし、そこに私が入って話す機会が少なかったので、もう少し対面で話すべきだったな、と反省しています。

横田:オンラインでもチームのモチベーション醸成などはできると思いますが、一度、チームメンバーと対面で話す機会があり、そのときにメンバーの人となりを知ることができたので、もっとリアルなコミュニケーションを取っていきたいですね。

布施:私も対面で話すことは大事だと思い、機会を作りました。その時にはやはり、対面で話す価値を再認識しましたし、人とのつながりは自分の財産になるな、とも思いましたね。

メンターとしての学びと、次年度への抱負

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布施:今年はメンター向けに研修がありましたね。ビジネスコンテストの全体像を含め、これまで培ってきたGCカタパルトのノウハウを改めて復習できました。

横田:私はかつて新規事業を進めていた事があり、セオリー通りにいかない場面も多く経験していますが、メンターとしての考え方や方法論をアップデートしていくために、また研修があればぜひ参加したいですね。

池田:メンターをしている中で、自分自身の成長も感じることがあります。「コデカケ」では聴覚に障がいをお持ちの方へヒアリングさせていただき、補聴器や人工内耳に関することはもちろん、日々の生活の様子など、多くの気づきを得ることができました。また、「COYA」では子育てに悩む男性と話す機会があり、父親としての考えや想いに触れることができました。社内メンターとして、チームメンバーと一緒に学び、考えていくことは、自分自身にとっても、とても大切だと感じています。

布施:メンターはみんな一歩引いたところから支援しています。私はその点、メンバーの一員みたいになっていたかもしれません。もう少し俯瞰した視点を持ちたいなと思いました。

横田:私も余計なお節介はしないようにとは心掛けていました。でも、ここで話していると「もう少しメンバーの中に入っていっても良かったのかな」とも思います。距離感は難しいですね。

清水:今回の座談会は良い機会でしたね、私も勉強になりました。

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▶︎COYA(コーヤ)
育児の悩みや夫婦の課題解決をサポートするスマートフォンアプリ。育児内容やパートナーの心理的な気分、ストレスなどを可視化することで、夫婦の意識の差を埋め「夫婦での主体的な育児参画」の実現を支える。
関連記事:夫婦での主体的な育児参画をサポートするアイデア「COYA」のこれまでとこれから

▶︎コデカケ
聴覚に障がいのある方の外出中に、接近する車や自転車を検知して通知するデバイス。歩行中のストレスを軽減して「ゆとりを持った楽しいお出かけ」を実現する。首にかけるネックデバイスが検知し、腕に装着するリストデバイスが振動で通知する。
関連記事:聴覚障がい者のココロおどるおでかけをサポートする新ソリューション「コデカケ」

▶︎FLOWUS(フローアス)
メンタルに不安や不調を感じて働く女性向けに、自宅の浴室で蒸気浴ができる空間を実現することで「ココロとカラダを整える新習慣」を提案する事業アイデア。手軽にリラックスできる時間を生み出し、不眠や負の思考のスパイラル解消をサポートする。
関連記事:しなやかに生きていく毎日をサポートする、自宅で蒸気に包まれる新習慣=FLOWUS

▶︎ツヅクンデス
自宅から参加できるオンライン運動教室。継続的な運動サポートを通じ「自分で歩ける期間」の延長を目指すオンラインフィットネスサービス。スマートフォンをケーブルでテレビに接続して使用し、自分に合ったトレーニング内容を選択できる。
関連記事:長く健康に家族と過ごせる未来のために生まれた「ツヅクンデス」

▶︎kagaMe(カガミー)
マインドレスな状態でストレスに悩んでいる人を対象に、呼吸瞑想を通じてマインドフルな思考になるための方法や習慣化を支援する事業アイデア。「ありのままの瞬間に意識を向け続ける」ことで、負の感情から開放される状態を生み出す。
関連記事:マインドフルな思考でストレスを減らす。誰もが前向きに生きられる社会を創りたい

▶︎Ipsum(イプソマ)
発達に特性のある子どもと家族に寄り添い、一人ひとりの「強み」を見つけて伸ばす新しい教育サービス。パナソニックの技術を応用し、専門機関と連携した信頼できるプログラムで、自立に向けた継続的なサポートを提供する。
関連記事:発達に特性のある子どもの強みを見つけて伸ばす教育サービス「Ipsum」が掲げるビジョン

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