Mar 7, 2018

Panasonicが新しく挑戦する「香り」の世界

Game Changer Catapult

Panasonicが新しく挑戦する「香り」の世界

Written by Aromation リーダー 横田 雅美/

Panasonicにおけるミッシングパーツ、「香り」を事業化しようと、2017夏から検討を始め、SXSW2018で世に問うことになりました。私たちが「香り」に賭ける思いをご紹介したいと思います。

なぜ「香り」なのか

私は、昨年春までアプライアンスデザインセンターに在籍していました。そこでの仕事は、現在の商品のデザインではなく、少し未来の生活シーンの提案をやっていました。ホームエンタテイメント分野を担当していた私は、テレビ・ビデオ・オーディオなどの商品に関わりつつ、それぞれの商品が再生するコンテンツ、つまり映像や音楽をテーマにしていました。生活する人々の利便性向上だけでなく、コンテンツが存在する生活そのものの価値を考える活動をしていたのです。さらに、昨年のSXSWに展示したAMP(アンビエントメディアプレーヤー)にも参画したことで、コンテンツと人々の気持ち、とのかかわりを考えるようになりました。住空間におけるコンテンツと人との関わりを創造する中で、あるミッシングパーツに気づきました。それが「香り」です。

世の中には既に「香り」をテーマにした商品が存在していることは知っています。これまでは単純にリラクゼーションの一手段として捉えており、そういった他社の活動にあまり心を揺さぶられることがありませんでした。「人々の気持ち」というところにフォーカスした時に、香りというコンテンツがもつ可能性、香りがある生活の価値を再度考えなおすことになったのです。

■五感について

人間には五感があります。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。視覚・聴覚に訴える映像や、聴覚に関わる音楽は商品対象としてこれまでも扱ってきており、人々に感動や癒しをもたらすということを実感してきました。しかし今回テーマとする「香り」を司る嗅覚は、視覚・聴覚に比較してより早く脳に信号が届き、しかも記憶と密接に繋がっているそうです。つまり、思い出のシーンを振り返るとき、風景やその時の音よりも、香りが最も早く記憶を呼び覚ます合図になるのです。

■音楽×香り?!!

今回SXSW2018のデモシステムでは、自分の気持ちを表す「音楽」をきっかけに、「香り」を選ぶことができます。単なるリラクゼーションのためだけの「香り」ではなく、多様な「香り」を体験して身近に感じ、そして香りが生活に与える「価値」を感じてほしいと思ってつくりました。

実は、このような音楽と香りを組み合わせる発想は、新しいものではなく、なんと1800年代にイギリス人調香師のピエスという人物が考案した「音階」ならぬ、「香階(こうかい)」という、ものがあります。ある音色を奏でると、該当する「香り」が放たれるのです。和音としても香りの調和が保たれるように計算されているそうです。

※ご参考:「調香師の手帖ノオト」中村祥二著

(「香階」でも検索してみてください!)

一方、日本においても1700年代(江戸時代)にはお香を「聞く」(嗅ぐとは表現しない)、「聞き分け」という文化があり、その香りの組み合わせと源氏物語の各巻とを対応させた「源氏香」という遊びがあります。

※興味がある方はぜひ「源氏香」で検索してみてください。

洋の東西を問わず「香り」を、五感を使った創作や遊びがあるのは興味深いところです。

今回のデモシステムでは、音楽と共にモーショングラフィックス(色彩/映像)も用いて、体験する人の気持ちを表現するトリガーとしています。

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チームで試作機を確認中

■香りの配信

これまでテレビやレコーダーの商品開発に携わり、AMPでは機器だけではなく映像コンテンツ配信に向けた挑戦をしていますが、さらに「香り」を配信するという新たな世界に挑もうとしています。

ん?香りを配信?どうやって? 映像や音楽はデジタルファイルとして送受信ができますが、「香り」というのは物質であり、物理的にパイプラインで送り届けるようなイメージがあります。「香り配信」とはどうやってユーザーのお手元に届けるのでしょうか。

■「気持ち」「感情」を見つめる

もちろん「香り」物質をけむりのようにパイプラインで送り出すわけではありません。ユーザーの元には様々な香りの元となるカートリッジがあり、それらが調合されて、意図する香りを再現しようと考えています。ユーザーの意図とは、その時々のユーザーの「気持ち」、○○な気持ちになりたい、○○なシーンに合わせたい、といったものです。その「気持ち」がデータとして配信され、マッチした「香り」を作り出します。

今後は、ユーザーのスケジュールや体調に合わせ、行く先々で「香り」が先回りして空間を整えてくれるでしょう。ユーザーはなりたい気持ちをわざわざ選ぶ必要等ない、そんな、皆がいつもストレスフリーで幸せな気持ちになれる世界を目指していきます。

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